Oリングをはじめとするシール材(パッキンやガスケット)を適正にお選び頂く為に、規格や仕様ほか、生産や設計、使用などに係る幅広い専門用語をまとめて解説いたします。製品の選定と最終的な判断はお客様ご自身にお願いしておりますが、参考として活用して頂ければ幸いです。
ヤング率とは、ゴム材質に対する垂直応力とその歪み(伸び)が比例する時の比例定数のことを指します。縦弾性係数。
有機過酸化物とは、−O−O−基を有する有機化合物のことです。パーオキサイド加硫に於いて、架橋剤として使用されます。
有機溶剤とは、他の物質を溶かす性質を持つ有機化合物の総称で、極性溶剤と非極性溶剤に分類されます。Oリングなどのゴム製品が接触する場合は、有機溶剤の種類に応じて適切な耐性を持つ材質を選択する必要があります。
有限変形とは、ゴム材質の変形が大きく、フックの法則などの微小変形による簡単な解析が出来ない変形のことです。幾何学的非線形性を有します。大変形。
融合不良とは、Oリングなどのゴム製品に於ける製造上の成形不良のひとつです。プレス工程でゴムコンパウンドが加硫成形される際、金型内を流れて合流するところに発生する線状の模様のことです。ウェルドライン。
遊離基とは、不対電子を持つ原子または原子団のことです。有機合成反応や重合反応に関与します。また、ゴム材質の劣化に於いて重大な影響を及ぼしています。ラジカル。
溶解度パラメーターとは、記号δで表される相溶性の大まかな指標です。溶媒が原料ゴムと近い溶解度パラメーターを持つほど良溶媒となり、ゴム材質の耐油性や耐溶剤性の目安として利用されます。SP値。
溶剤によるOリングなどのゴム製品の性状変化は、一般に溶剤とゴム材質の溶解度パラメーターとの差に依存し、その差が大きいほど溶剤に対して高い抵抗性を示します。
溶出とは、Oリングなどのゴム製品が薬品、特に溶媒と接触した際、製品から不純物が溶け出す現象のことです。有機化合物であるゴムや樹脂は、炭素や水素、酸素、フッ素といった元素を基軸に構成されています。しかしOリングなどの製品に加工される過程では、添加物として金属元素などが加えられたり、製造過程で金属や人の手が接触したりすることで、微量ながら不純物(鉄、ニッケル、ナトリウム、カルシウムなど)が混入することとなります。それらの微細な不純物の溶出が一般的な製品用途で問題となることは考え難いですが、極めて高純度な薬品が必要とされる場合では、溶出物によって薬品の純度が下がるのを避ける為、溶出の少ない材質が選択されます。
呼び番号とは、Oリングの寸法規格に於いて寸法を表す符合のことです。規格名から「−」で繋げて記されるのが一般的です。