Oリングをはじめとするシール材(パッキンやガスケット)を適正にお選び頂く為に、規格や仕様ほか、生産や設計、使用などに係る幅広い専門用語をまとめて解説いたします。製品の選定と最終的な判断はお客様ご自身にお願いしておりますが、参考として活用して頂ければ幸いです。
Aとは、デュロメータ硬さに於いてタイプA(中硬さ用)の試験機によって導き出された硬さに付けられる符号です。一般的なOリング材質(ゴム材質)の硬さは、タイプAに拠ります。<JIS K 6253, ISO 48, ISO 7619>
A練りとは、加硫剤や加硫促進剤といったスコーチに係る一部の配合剤が含まれていない配合ゴム(プリコンパウンドゴム)を混練りする作業のことです。ノンプロ練り。
ABS樹脂とは、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンを主成分とする熱可塑性樹脂、Acrylonitrile-Butadiene-Styrene Resinの略称です。成形性に優れています。アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合樹脂。
ACMとは、原料ゴムのひとつであるAcrylic Rubberの略称です。アクリル酸エステルを主成分とするゴムのことを指し、FKM(フッ素ゴム)に次ぐ耐熱性や耐油性を備えており、その下位互換として広く用いられています。尚、FKMを最も得意としている桜シール社ではACMの価格優位性が発揮され難く、あまり多くは生産していません。アクリルゴム。
AFLASは、原料ゴム或いはゴム材質としてのFEPM(テトラフルオロエチレン・プロピレン系フッ素ゴム)に対する通称として広く用いられています。但し、厳密にはAGC旭硝子社の生産する原料ゴム(FEPMほか)に係る商品名です。アフラス®。
AN6227規格とは、MIL規格(軍用規格・アメリカ合衆国)をベースに日本国内で制定されたOリング寸法の旧規格です。より以前にはJIS W 1516規格とされていました。全てをAS568規格に呼び替えることが出来ます。
AN6230規格とは、MIL規格(軍用規格・アメリカ合衆国)をベースに日本国内で制定されたOリング寸法の旧規格です。より以前にはJIS W 1517規格とされていました。全てをAS568規格に呼び替えることが出来ます。
ARP568規格とは、SAE規格(自動車技術者協会規格・アメリカ合衆国)に掲げられるOリング寸法の規格です。ARPはAerospace Recommended Practicesに由来し、ARP規格などとも略称されています。現在はAS568規格となりました。
ASTMとは、アメリカ合衆国の材料試験協会(American Society for Testing and Materials)、またはこの協会による工業規格のことです。
AS568規格とは、SAE規格(自動車技術者協会規格・アメリカ合衆国)に掲げられるOリング寸法の規格です。ASはAerospace Standardsに由来し、AS規格などとも略称されています。
B練りとは、スコーチ(早期加硫)に係る加硫剤や加硫促進剤なども含む配合剤の全てが添加された配合ゴム(フルコンパウンドゴム)を混練りする作業のことです。プロ練り。
Bipolymer FKMとは、2元系FKM(2元重合体のビニリデンフルオライド系フッ素ゴム)のことです。一般にフッ素ゴムとして流通している大半が2元系FKMによる材質で、FKM-70(4D)などが該当します。2元系フッ素ゴム。
BRとは、Back-up Ringの頭文字に由来するバックアップリングの略称です。BRT1やBRT2、BRT3といったように、しばしばバックアップリングの形状と併せて表記されます。
Bunaは、原料ゴム或いはゴム材質としてのNBR(ニトリルゴム)に対する通称として用いられています。但し、厳密にはランクセス社(ドイツ連邦共和国)の生産している原料ゴム各種(NBRやBRなど)に係る商品名です。ブナ®。
CNTとは、炭素によって作られる同素体の一種であるカーボンナノチューブ(Carbon Nanotube)の略称です。次世代の炭素素材と目されるナノマテリアル(粒径が100nm以下の素材。1nm=1ナノメートルは10-9メートル、つまり10億分の1メートル。)で、耐熱性や導電性、熱伝導性などに優れています。一般にその構造からSWCNT(Single-Walled Carbon Nanotube = 単層カーボンナノチューブ)とMWCNT(Multi-Walled Carbon Nanotube = 多層カーボンナノチューブ)に分類されます。カーボンナノチューブ。
CRとは、原料ゴムのひとつであるChloroprene Rubberの略称です。最も早く開発された合成ゴムで、耐油性や耐オゾン性を有しています。CR-70をはじめとするOリング材質(ゴム材質)に用いられています。クロロプレンゴム。
CR-70とは、クロロプレンゴム(CR)による硬さA70±5のOリング材質(ゴム材質)です。耐油性や耐オゾン性を有しています。フロンガスに対する規制が強化される以前は、フロンガス用の材質として多用されていました。
CSとは、Compression Setの略称で、潰した(圧縮した)ゴム材質が一定の状態までしか復元せず、変形して戻らないことです。圧縮永久歪み。<JIS K 6262, ISO 815>
CS等級とは、日本工業規格(JIS B 2401)が定めるOリングの外観基準(表面欠陥に係る許容限度)に於けるグレードのひとつです。尚、一般に流通している殆どの規格Oリングは、N等級に準じて製作されています。