Oリングをはじめとするシール材(パッキンやガスケット)を適正にお選び頂く為に、規格や仕様ほか、生産や設計、使用などに係る幅広い専門用語をまとめて解説いたします。製品の選定と最終的な判断はお客様ご自身にお願いしておりますが、参考として活用して頂ければ幸いです。
P規格とは、Oリングの寸法に係る規格のひとつです。一般に、日本工業規格(JIS B 2401)が定めるP(運動用、及び固定用Oリングの寸法規格)による寸法だけでなく、Pに準ずる規格外寸法(同一線径を持つ中間内径や延長内径)のことも含みます。
PAとは、主鎖を構成する繰り返し単位がアミド結合の重合体の総称であるPolyamideの略称です。ナイロン(脂肪族ポリアミド)とアラミド(芳香族ポリアミド)に分類されます。ポリアミド。
Paは、圧力や応力を表すSI(国際単位系)単位で、Pascalを記号化したものです。1Pa=1N/㎡となります。パスカル。
PCとは、主鎖に−O−CO−O−を持つ熱可塑性樹脂、Polycarbonateの略称です。機械的性質や透明性に優れています。ポリカーボネート。
PEEKとは、熱可塑性樹脂のひとつであるPolyEther Ether Ketoneの略称です。極めて優れた耐熱性や耐薬品性、機械的性質、純粋性などを有しています。ピーク。
PFとは、フェノール類とホルムアルデヒドとの付加縮合反応により得られる熱硬化性樹脂、フェノール樹脂(Phenol Resin)の略称です。フェノール樹脂。
PFAとは、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合によって得られる溶融流動性の熱可塑性樹脂、Tetrafluoroethylene-Perfluoroalkyl Vinyl Ether Copolymerの略称です。耐薬品性などに秀でている上、低摩擦性や低固着性などにも優れています。
PFA被覆Oリングとは、耐薬品性の補強を目的として強固なフッ素樹脂(PFA)被覆を施したOリングのことです。非常に優れた耐薬品性を持ちながら比較的安価ですが、ゴム材質と比較して伸長性や復元性は完全に劣り、固定用途以外の使用には適していません。また、パーフロ(FFKM)系の材質ほどの耐薬品性は有していません。現在では新しい高機能ゴムが次々と開発されているので、場合によってはフロロパワーシリーズによるOリング材質を推奨いたします。テフロンジャケットOリング。
PLとは、圧縮成形によるOリングなどのゴム製品に於いて、型割り面や金型分割部分が製品表面に線状の跡となって残っている部分、Parting Lineの略称です。製品の性能を損ねる場合があり、Oリングでは許容限度が定められています。パーティングライン。
PMMAとは、メタクリル酸メチルを重合した非晶質の無色透明な樹脂、Poly Methyl Methacrylateの略称です。アクリル樹脂。
PO加硫とは、有機過酸化物による架橋、Peroxide Crosslinkingの略称です。水素引抜反応で分子鎖に生成したラジカルが再結合されます。この方法で架橋されたゴム材質は、硫黄加硫を用いたものと比較して耐熱性や耐酸化性が優れます。パーオキサイド加硫。
POMとは、ホルムアルデヒドによる重合体の熱可塑性樹脂、Polyoxymethyleneの略称です。機械的性質に優れています。ポリアセタール。
PPとは、プロピレンの重合によって得られる結晶性の高い熱可塑性樹脂、Polypropyleneの略称です。非常に軽く、折り曲げに強い性質を有しています。ポリプロピレン。
PTFEとは、テトラフルオロエチレンの重合によって得られる高結晶性の熱可塑性樹脂、Polytetrafluoroethyleneの略称です。耐熱性や耐薬品性などに秀でている他、低摩擦性や低固着性などにも優れています。4フッ化エチレン樹脂。
PTFE被膜Oリングとは、ゴム材質の粘着性による作業性の低下(Oリング同士の貼り付きなど)を軽減することを目的として、表面に5.1〜20.3μm程度のフッ素樹脂(PTFE)被膜を施したOリングのことです。粘着性を軽減する方法の中では比較的安価ですが、Oリング装着した後に効果は持続しません。Oリングの使用中も長時間に亘って粘着性の低減効果を持続させる必要がある場合は、フロロアップシリーズによるOリング材質を推奨いたします。フッ素樹脂コートOリング。
PVCとは、塩化ビニルのラジカル重合で得られる熱可塑性樹脂、Poly Vinyl Chlorideの略称です。NBR(ニトリルゴム)との相溶性に優れ、物理的ブレンドなども行われています。ポリ塩化ビニル。
PVMQとは、原料ゴムのひとつであるPhenylvinylmethyl Silicone Rubberの略称です。シロキサン骨格に付く置換基がメチル基、フェニル基(ベンゼンから水素原子1個を取り除いた形の1価の官能基−C6H5)、及びビニル基から成るシリコーンゴムのことを指します。フェニル基の導入によって耐熱性や耐寒性、物性などが向上していますが、圧縮永久歪みが劣ることからOリングに用いられることは稀です。フェニルメチルビニルシリコーンゴム。
REACHとは、Registration, Evaluation, Authorization and Restriction of CHemicalsの略称で、欧州連合(EU)による化学物質とその安全性に関する法律です。桜シールOリングについては、材質別の対応を行っています。リーチ。
RGDテストとは、Oリング材質の耐ブリスター性に係る評価、Rapid Gas Decompression Testの略称です。RGDテストには、ISO 23936-2をはじめとする公的な試験規格が存在します。
RoHSとは、Restriction of Hazardous Substancesの略称で、欧州連合(EU)が公布した危険物質に関する制限の指令のことを指します。桜シールOリングについては、材質別の対応を行っています。ローズ。
Rubberとは、常温でゴム弾性を示す高分子物質のことです。以前はNatural Rubber(天然ゴム/NR)を指してRubberとされ、合成ゴムを指すElastomerと区別されていましたが、現在では区別されていません。ゴム。
S規格とは、Oリングの寸法に係る規格のひとつです。機器の小型化を受けて細い線径のOリング寸法を規格化したもので、昭和期に日本国内で規定されました。
S等級とは、日本工業規格(JIS B 2401)が定めるOリングの外観基準(表面欠陥に係る許容限度)に於けるグレードのひとつです。尚、一般に流通している殆どの規格Oリングは、N等級に準じて製作されています。
SAEインターナショナルとは、自動車や航空宇宙に関連する標準化機構、Society of Automotive Engineers Internationalの略称です。SAEインターナショナルによるSAE規格は、世界中で適用されている最も国際的な工業規格の数々です。
SAE規格とは、Society of Automotive Engineers(自動車技術者協会・アメリカ合衆国)による工業規格のことです。陸上輸送や航空宇宙に関連する機器で広く適用されている国際的な規格で、OリングではAS568規格などが、SAE規格に拠ります。
SBRとは、原料ゴムのひとつであるStyrene-Butadiene Rubberの略称です。スチレンとブタジエンの共重合体で、耐候性や耐摩耗性に優れており、タイヤや防振ゴムで多用されていることから最も生産量の高い合成ゴムです。但し、Oリングではあまり多くは使われておらず、代わりにEPDM(エチレンプロピレンゴム)が選択されています。スチレンブタジエンゴム。
SGCNTとは、スーパーグロース法によって生産されたカーボンナノチューブです。他の製法によるカーボンナノチューブと比較して、高アスペクト比である他、高純度であったり大表面積であったりといった優位特性を有しています。
SIFELとは、原料ゴム或いはゴム材質としてのFFKO(パーフルオロポリエーテルゴム)に対する通称として用いられることがありますが、厳密には信越化学工業社の生産する同材に係る商品名です。サイフェル。SHIN-ETSU SIFEL®。
SP値とは、記号δで表される相溶性の大まかな指標、Solubility Parameterの略称です。溶媒が原料ゴムと近いSP値を持つほど良溶媒となり、ゴム材質の耐油性や耐溶剤性の目安として利用されます。溶解度パラメーター。
SS規格とは、Oリングの寸法に係る規格のひとつです。一般的な寸法規格の中では最も小さなOリング寸法によるもので、昭和期に日本国内で規定されました。尚、現在ではM規格のようにもっと小さな寸法規格も汎用化しつつあります。