選定のヒント【な行】

Oリングをはじめとするシール材(パッキンやガスケット)を適正にお選び頂く為に、規格や仕様ほか、生産や設計、使用などに係る幅広い専門用語をまとめて解説いたします。製品の選定と最終的な判断はお客様ご自身にお願いしておりますが、参考として活用して頂ければ幸いです。

Oリング選定ガイドライン

内圧用

Oリングの使用に於いて内圧用とは、平面固定のOリングに内側からの圧力が加わる用途のことです。Oリングは外径が溝の外壁に密着するように設置します。

詳細:使用方法

内径

Oリングの寸法表記に於いて内径とは、Oリング内側の直径のことを指します。Oリングの寸法は線径と内径で表記するのが一般的ですが、Oリングの装着に於いて外周面が重要になる場合などでは、外径も併記されることがあります。「内径=外径−線径×2」。ID。

詳細:寸法一覧

内部離型剤

内部離型剤とは、ゴム材質の原材料(配合剤)のひとつです。架橋された製品を金型から外し易くすることを目的として原料ゴムに添加される加工助剤のことを指します。

関連:配合剤

軟化剤

軟化剤とは、ゴム材質に用いられる原材料(配合剤)のひとつです。柔軟性や加工性を向上させる為に使用される添加剤の総称です。可塑剤。

関連:配合剤

軟化劣化

軟化劣化とは、ゴム材質が熱や酸素といった外部からの刺激によって分解して軟らかくなり、性能を損なう現象のことです。但し、Oリング材質の熱劣化では、殆どが軟化せずに硬化劣化を示します。

関連:耐熱性

難燃性

Oリングなどのゴム製品に於いて難燃性とは、火炎接触や加熱環境に於けるゴム材質の着火や燃焼に対する抵抗性のことです。クロロプレンゴム(CR)系やシリコーンゴム(VMQ)系、フッ素ゴム(FKM)系、パーフロ(FFKM)系などの材質が優れています。尚、より高い抵抗性のことを指して不燃性といいます。耐燃性。

関連:原料ゴム

ニーダー

ニーダーとは、ゴムコンパウンドの製作に用いられる装置のひとつです。チャンバー内に2本のひねりを持った混練翼がそれぞれ逆方向に回転し、原料ゴムと配合剤をせん断し、圧縮し、また引き伸ばして混練りを行います。

二次加硫

二次加硫とは、Oリングなどのゴム製品を2段階に分けて加硫する場合の2段目の加硫のことです。プレス工程による加硫不足を補って最適加硫を促す他、ゴム材質の中に残っている加硫剤や加硫促進剤などの未反応部分、内部離型剤といった余分な物質を取り除く効果もあります。

関連:製造方法

二重結合

二重結合とは、2つの原子価による原子の結合を指します。二重結合を有す原料ゴムによるゴム材質は、その多くが耐候性に劣っています。

関連:原料ゴム

ニトリル基

ニトリル基とは、1価の官能基−C≡Nのことで、炭素はsp混成を持ち、強い電子吸引基です。ニトリルゴム(NBR)系の材質が保有する耐油性は、ニトリル基の極性に由来しています。シアノ基。

ニトリルゴム

ニトリルゴムとは、原料ゴムのひとつで、正式名称をアクリロニトリルブタジエンゴムといいます。NBR-70-1(1A)やNBR-90(1B)をはじめとするOリング材質(ゴム材質)に用いられています。NBR。Nitrile Rubber。

日本工業規格

日本工業規格とは、工業標準化法に基づいた国家規格のことです。鉱工業品などの生産及び流通、使用に関する分野が対象となっています。Oリングに関しては、JIS B 2401などが規定されています。JIS。

日本自動車技術会規格

日本自動車技術会規格とは、公益社団法人の自動車技術会が制定する工業規格のことです。自動車に関わる機械要素の規格としてFが定められており、JASO F 404ではOリングの寸法が規定されています。JASO規格。

抜き型

抜き型とは、打ち抜き裁断に用いる所要の形状をした薄い鋼鉄製の刃型の総称です。ゴム板からガスケット製品などを打ち抜いたり、Oリングなどのゴム製品からバリを取り除いたりするのに使用されます。

布入りゴム

布入りゴムとは、ゴム製品の機械的性質を補強する為に織布が入っているゴム材質のことです。ゴムを織布に含浸させた状態で加硫されており、Vパッキンやダイヤフラム、ゴムシートなどに用いられています。

ネオプレン

ネオプレンは、原料ゴム或いはゴム材質としてのクロロプレンゴム(CR)に対する通称として広く用いられています。但し、厳密にはデュポン社による原料ゴムとしてのクロロプレンゴム(CR)に係る商品名です。Neoprene®。

ねじれ

ねじれとは、Oリングの典型的な故障のひとつで、ねじれて変形している状態を指します。多くの場合は装着方法に起因しますが、摺動面の状態や偏心運動などに因っても発生します。

熱可塑化

熱可塑化とは、熱によるゴムの軟化を指します。低温で原料ゴムに機械的な力を加えると分子が切断されて可塑化しますが、100℃前後では変化を起こし難く、130℃を超すと熱エネルギーによる分子切断で可塑化し易くなります。尚、Oリング材質(ゴム材質)の熱老化に於いては、大半が可塑化する熱軟化型劣化ではなく、硬化する熱硬化型劣化を起こします。

関連:耐熱性

ネットワーク構造

ネットワーク構造とは、ゴム材質に於いて、多数の高分子鎖が互いに架橋して三次元的に網目状になっている分子構造のことです。網目構造。

詳細:架橋

熱老化

熱老化とは、熱によってゴム材質に分子の切断が発生し、軟化または硬化に至る現象のことです。

詳細:耐熱性

熱老化試験

熱老化試験とは、ゴム材質を規定温度で規定時間老化してから諸特性を測定し、加熱処理前後の変化から熱老化の性質を評価する試験のことです。促進老化試験(高温条件によって試験片の老化時間を短縮させて行う試験)と熱抵抗試験(使用と同等の温度条件によって時間をかけて行う試験)の2種類があります。<JIS K 6257, ISO 188>

練り

練りとは、ゴムコンパウンドの製作工程に於いて、原料ゴムに機械力を加えて分子鎖を切断することで可塑性を調節すると共に、配合剤を混合する操作のことです。一般に素練りと混練りの二段階に分けられ、オープンロールやニーダーなどの装置によって作業を行います。

粘弾性

粘弾性とは、粘性と弾性を同時に持つ力学的な挙動のことです。弾性体では応力が歪みのみに依存し、粘性体では応力が歪み速度のみに依存します。粘弾性体では、応力と歪みの関係に対して時間の影響が現れます。

粘着

ゴム製品に於いて粘着とは、製品と固体材料、若しくは製品同士が粘り付く現象のことです。Oリングなどのシール製品では、製品同士が貼り付くことによる装着作業の効率低下や、動的部分に過度な摩擦抵抗が発生することによる動作不良の原因になることがあります。

燃料油用ゴム

燃料油用ゴムとは、ガソリンや軽油、灯油といった一般的な燃料油に対する耐性を持つゴム材質のことで、フッ素ゴム(FKM)系の材質ほか、ニトリルゴム(NBR)系の材質でも耐油性が強化されているNBR-70-2(2A)やHNBR-70などのOリング材質が相当します。

ノギス

ノギスとは、長さを精密に測定する為の機器です。1/100mmの目盛を持ち、対象物の外側や内側、深さ、段差などの測定を行うことが出来ます。尚、ノギスは比較的小さなOリングの内径などを測定する為に広く使用されている測定機器のひとつですが、ゴム材質によるOリングの内径を真円状態で固定することが困難な為、正確な計測が難しい場合があります。<JIS B 7507>

伸び率

伸び率とは、一軸伸長を与えたゴム材質の破断点までの伸びのことです。初期に対する比率(%)で表します。切断時伸び。<JIS K6251, ISO 37>

詳細:伸び率

ノンプロ練り

ノンプロ練りとは、加硫剤や加硫促進剤といった一部の配合剤が含まれていないコンパウンド(プリコンパウンド)を混練りする作業のことです。A練り。










選定のヒント(専門用語)

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